2013年11月27日

まつたけばばあ

とある松山には毎年毎年多くの松茸泥棒が訪れる。なかでも俊夫さんの山には防犯設備が整っているにもかかわらず多くの泥棒がいっぱい松茸を盗んでいく。これでは俊夫さんの経済的損失は計り知れない。そこで俊夫さんは考えた。自分の山を心霊スポット的な山にしてしまえば夜の泥棒は減るのではなかろうかと。

そうして俊夫さんは幽霊になることを決意した。髪の長いかつらをかぶりボサボサにした。白い浴衣をだらしなく着こなし、体中におしろいを塗って白くした。この格好で夜中の自分の山で泥棒を待ち伏せようというのだ。

俊夫さんは夜中の山に潜んでいた。足音が近づいてくる。がさっがさっ。ライトが見える。明らかに松茸泥棒なのだ。彼が近づいたとき、俊夫さんはそーっと音を立てないように彼の前に姿を現した。うつむき加減で。ライトに照らしだされたものに気づいた泥棒は腰を抜かしつつ命からがらの体で逃げていく。

「これは効果抜群だ。しばらく続ければだれもこなくなるだろう」
俊夫さんは一ヶ月近く頑張った。


今年も松茸の季節が近づいてきた。だが俊夫さんはもう松茸をとることをあきらめている。毎夜毎夜の心霊スポット観光客が山を荒らしに荒らしたおかげで松茸なんて取れる状況ではなくなっていた。

「ここでまつたけばばあがよくでるらしいぜ」
「この松で首を吊ったばあさんらしい」
「いや、俺はここに住んでいたばあさんが強盗に殺されたって聞いたぞ?」

深夜にもかかわらず賑やかな山になりました。
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posted by 大前伍長 at 23:03 | ハノイ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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