2013年11月27日

まつたけばばあ

とある松山には毎年毎年多くの松茸泥棒が訪れる。なかでも俊夫さんの山には防犯設備が整っているにもかかわらず多くの泥棒がいっぱい松茸を盗んでいく。これでは俊夫さんの経済的損失は計り知れない。そこで俊夫さんは考えた。自分の山を心霊スポット的な山にしてしまえば夜の泥棒は減るのではなかろうかと。

そうして俊夫さんは幽霊になることを決意した。髪の長いかつらをかぶりボサボサにした。白い浴衣をだらしなく着こなし、体中におしろいを塗って白くした。この格好で夜中の自分の山で泥棒を待ち伏せようというのだ。

俊夫さんは夜中の山に潜んでいた。足音が近づいてくる。がさっがさっ。ライトが見える。明らかに松茸泥棒なのだ。彼が近づいたとき、俊夫さんはそーっと音を立てないように彼の前に姿を現した。うつむき加減で。ライトに照らしだされたものに気づいた泥棒は腰を抜かしつつ命からがらの体で逃げていく。

「これは効果抜群だ。しばらく続ければだれもこなくなるだろう」
俊夫さんは一ヶ月近く頑張った。


今年も松茸の季節が近づいてきた。だが俊夫さんはもう松茸をとることをあきらめている。毎夜毎夜の心霊スポット観光客が山を荒らしに荒らしたおかげで松茸なんて取れる状況ではなくなっていた。

「ここでまつたけばばあがよくでるらしいぜ」
「この松で首を吊ったばあさんらしい」
「いや、俺はここに住んでいたばあさんが強盗に殺されたって聞いたぞ?」

深夜にもかかわらず賑やかな山になりました。
posted by 大前伍長 at 23:03 | ハノイ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月19日

時空連結

廃墟、心霊スポットと呼ばれている大きな屋敷にわしら二人は立っていた。
屋敷散策した。
「なんや、なんもないやん。帰ろか」

と、帰ろうとしたとき、まだ行っていなかった部屋が目に飛び込んだ。
しかも人が立っている。

どんどん近づいてくる
「なんや、おまえたち、どっからきたんや?」

なんだ、気さくに話しかけてくるではないか。
「いや、ちょっと道に迷いまして」

「そうか、ここは山の中やからなぁ。まあ、奥でちょっと休んでいけや」

男は我々を廃墟の奥へと案内した。

そこには、

10人ぐらいの人たちがいた。食堂みたいなところで談笑している。
しかし、なんかおかしい。光景が懐かしい。
家電とか人々の服装を見てみる。
わしの子供のころの写真に写っているのと似ている。
昭和50年代??

わしと友人は目を見合わせた。どうなっているんだ。そもそもなんであんな廃墟に人がいて、中で生活しているんだ。

「ほら、これでも飲め」
さっきの男が熱燗を持ってきてくれた。

「あ、ありがとうございます。ところで、今年は西暦何年でしたっけ?」

「なんや、お前どっかで頭打ったんか?1980年やないか。」

1980年・・・・
25年前じゃないか
「こいつらやっぱり幽霊か」

「そういえば、おまえらなんか変な格好やな。最近の若者はそんな格好するんか?」

「いえ、僕らちょっと変なファッションに凝ってまして」

「ふ〜ん、そうか。はよのまんと冷めるで」

出された熱燗は熱かった。
幽霊ではないようだ。

狐につままれたような顔をして我々は出された熱燗を飲み干した。
TVからは「異邦人」が流れている。

「今日はもう遅いから泊まっていけ」

そのお言葉に甘えることにした。

案内された部屋は、廃墟だったところだが、なぜか今は綺麗になっている。廃墟だった建物全体が若返っていた。

「おい、どうなっとんのやろ。」

「ひょっとしてタイムスリップしたんちゃうか?」

「そんなん有り得るか?」

「でも、この状況はそうとしか思えへんやろ。」

いつの間にか二人は寝ていた。


翌朝、朝食をご馳走になって、我々はその廃墟を後にした。


山をでると、そこは2005年の日本だった。

「なんや、あの廃墟!!」

「今度もう一回行って確かめなあかんな」

後日、我々はもう一度あの廃墟へと向かった。

それは木々の中にひっそりとたたずんでいた。
最初に見たときと変わらない、大きな屋敷の廃墟だ。

二人は、最初に男と出会った部屋へと足を進めた。
そこには、また人影があった。

「なんや、おまえたち、どっからきたんや?」

我々は、今日もまたあの時と同じ日の1980年を過ごした。
TVからは「異邦人」が流れていた
posted by 大前伍長 at 12:38 | ☀ | Comment(4) | TrackBack(0) | 創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする